写真新世紀2014 展示作品について

 作品の主題は「Artificial S」といいます。意味は「人工的なエス」です。「エス」は感性の”Sense”、「ソンナ馬鹿ナ」と言っちゃうような時の”Sonna”などなどの「S」を指します。 主題は5つか6つほどの副題から構成されます。提出したのは、その内の3つ「人あるいは謳歌」「死」「教師」(いずれも仮題)からです。主題は生死を表現します。ですが生から死へというシーズンというわけではありません。

 今回展示されている作品は、佳作を頂くこととなったブック形式(※)の作品から一部を抽出し再構築したものです。 

 展示作品2点に加えて、16点をポートフォリオに収めています。あわせて一つの塊として御覧ください。個別にタイトルありませんが、すべて同様の方法によって制作されています。
 その方法とは、「写真を撮影し、写真にする」というものです。技術的にはデュープですが、その複製という意味では、全く異なるものになります。

  写真というものは、その画面の中にある記号を発見し、たとえば言葉にしてみると、うるさく感じる程にサラサラと何かを取りこぼす感触を覚えます。認識できないものから発せられるノイズです。どれ程細かく言葉に置き換えても、記号を図像のまま認識していても、ノイズはやむことはありません。

 世界は兎に角なにかで満ちています。今回の作品は、写真を写真で充たせました。

 写真は、写真集などのブック形式に慣れ親しんでいるせいか、どうしてもある程度の方向をもつ時間性を見つけてしまいます。あるいはそれを期待してしまうかもしれません。ですが今回展示されている麥生田の作品たちには、この写真からあの写真へというそれはありません。単一の作品がもつ構造にこそ注力しており、その構造がもっとも明快にみえているものを選びました。

 写真は、誰かに見つけられて初めて写真になります。

 写真は、その前に立ちそれを経験することで写真になります。

 写真とあなたのあいだに起こるであろう何かが、もっとも重大なものです。

 写真を写真にできる事、その原因がたいへんな価値をもっています。あなたの持ち物です。

 あなたは、それをどこで手に入れましたか。

 文章終わります。
私は言葉がうまくないので、きっと読みにくかったり意味がわからなかったりすると思います。わかったような事を偉そうに言ってしまっているでしょう。見当違いもあるかもしれません。すみません。作品も少し意地悪につくっているかもしれませんが、それでも、じっくりと見ていただき何かが起きればなと望んでいます。乱文 失礼致しました。

麥生田兵吾

(※)ブック 3(68ページ) / インクジェットプリント